OBSESSION
「お盆が過ぎたら年末」
ご存知、プチ鹿島氏の名言。
年々、その体感スピードは上がるばかり。やれやれ。
でも洋服を嗜む私たちはその間に流れる情緒を感じ楽しめる気がします。
そして、今の時期はちょっと先の未来に思いを馳せながら洋服を考える楽しい時期。
そう、秋冬の立ち上がりです。



今回は商品紹介の前にまず、ブランドのプレスリリースを読んで欲しい。
その上で彼らの洋服を見てもらうと、より深く感じる事ができると思うので。
彼らの真摯な思いと語り、それを昇華したデザインと洋服の醸し出す雰囲気、そして高いクオリティー。
素晴らしい完成度です。是非店頭で触れてみてください。
「OBSESSION」と題されたOMAR AFRIDIのAUTUMN WINTER 2025は、日常に潜む小さなディテールへの執着から生まれた。ミニマルでありながら強さを秘めたメンズウェアのエレガンスは、素材、シルエット、そして細部に宿る。クラシックな形にほんの少しの違和感を与えることで、まるで新しいものに生まれ変わる。そして、「普通ではない普通」を組み合わせることで、言葉にできない心地よさが生まれる。
身体をやさしく包み込むような蕾型の PINA WRAPPED COAT は、スリーブからボディにかけてヘンリームーアの彫刻を思わせる有機的なカッティングが施されている。縦のラインを強調するシームに、ミニマルでありながら機能的なフラップポケットが溶け込む。彫刻的であり、ミニマルであり、そして機能的。この三角形が交わるとき、OMAR AFRIDIの掲げるクラシックでソリッドな男性像が浮かび上がる。
同じ哲学のもとに生まれた PINA と名付けられたパンツは、コートと同じく象徴的な素材である厚手のフロッキーデニムを使用。製品洗いを施すことでフロッキーを部分的に剥がし、時間の経過を感じさせるような奥深いフェード感を生み出した。まるで、使い込まれた家具や、風化した表面の石のような美しさだ。
異なる番手の縦糸と横糸を織り込んだウールドリルは、本来ハードな質感を持つが、あえてふっくらと仕上げることで、しなやかに身体を包み込むドレープが生まれる。一方で、ヘビーウェイトのナイロンウールメルトンは、構築的なシルエットを完璧に描き出す。さらに、今回のコレクションでは、かつて車のシート用に開発されたジャガード生地を衣服用に再構築した。厚みのあるテクスチャーが、服に新しい存在感を与える。なかでも GEOMETRIC JACQUARD のブロックパターンは、ニットの編み構造に応用され、ストレッチによってパターンが浮かび上がる仕掛けが施された。動きの中で、変化する表情が楽しめる。
ARTICULATED と名付けられたリブ編みのドライバーズニットは、クラシックなシルエットを保ちながら、リブそのものの流れを変えることに挑戦した。まるで枯山水の波紋のように、上下のリブ幅を調整し、最も美しく見える流れを探求した。その結果、まるで静かな水面に波紋が広がるような、有機的なリズムが生まれた。今シーズンは “I” ラインを意識したデザインが特徴的で、スタンドネックのアイテムが多く登場する。また、ニットのレイヤードスカートが静かに、しかし確かな存在感を持って、コレクションの中で重要な役割を果たしている。
そして最後に、かつてブランドの象徴でもあったシルバーのハードウェアが、今回は生地と同色にコーティングされたことに気づくだろう。あえてコントラストを抑えることで、より深みのある、静かで研ぎ澄まされた強さが生まれた。主張するのではなく、静かにそこにある強さ。言葉では語られない美しさが、そこにはある。







